ギンガ団極秘計画 第4話
【人間→ポケモン】
by 青合成獣ぁ満月様
・・・俺はいつの間にか檻の中で眠っていたらしい
目を擦り、立ち上がろうとしたが・・・当然できるわけがない
今、俺はブラッキーなのだから
檻の中には窓の一つもない、朝なのか夜なのかも・・・
俺達は一切の時間間隔を失われてしまっている
ソルは隣でまだ眠っているようだ
その時、檻に誰かが入ってくる
ドアが開く音にソルも目覚めたようだ
入ってきたのは、俺の姿を変えた研究者だった
『やぁ二人とも、昨日はじっくり眠ることができましたか?』
昨日ということは、どうやらポケモンのまま1日過ごしたらしい
この姿のままでは口で返事が出来ないので静かに頷いた
『さて、実験を再開しますよ・・・こちらへ』
彼がモンスターボールを構える
そしてボールから発した赤い光を浴びると、俺はボールの中へと回収される
また、体をあれこれ調べられたり、バトルでもしたりするのだろうか・・・?
気がつけば俺はボールから出され、昨日の研究室にいた
『今日はこちらを試そうと思うのですが、準備はよろしいですか?』
彼が持っているのは1枚のディスク
俗に言う“わざマシン”という奴だ
これを俺に使おうというのか・・・?
『ブラッキーの覚える技のリストから、すぐにでも実践に対応できるように
適正な攻撃技を選びましたよ・・・NO,79“あくのはどう”です』
“わざマシン”・・・そのポケモンが覚えられる技なら
瞬時に習得させるというもの・・・
確かにブラッキーは悪タイプ、判断としては適切だが
何か引っかかるものがあった・・・
そしてパソコンにディスクをセットし、俺の頭にはコードの沢山ついた装置を付けられる
『さて、では早速始めますよ・・・』
彼はマウスを動かし、実行のボタンをクリックする
『ブラッ・・・!?(ぐぁっ・・!?)』
軽い頭痛と共に何かが一気に頭の中へと流れ込んでいく
“あくのはどう”をどのように使うのか・・・
それは徐々に感覚として体に刻み込まれていく
『80・・・90・・・完了、と』
どうやら終わったらしい・・・だが、まだ頭が少し痛い
ポケモンはいつもこんな思いをしているのだろう・・・と、痛感した
『どうです?意識はありますか?』
こっちの苦労も知らずに、研究者は微笑んで質問してくる
俺はとりあえず小さく鳴いて答えた
『今日もバトルでテストを行います、今回はバトル慣れしたポケモンを
相手にしますので気を引き締めて戦ってください』
今回こそ本番・・・か
だが俺は“たいあたり”と“あくのはどう”しか分からない
たったこの二つの技で太刀打ちできるのだろうか?
『あ、そんなに緊張しなくていいですよ・・・貴方が闘うのはゴースですから』
ゴース・・・、メジャーなゴーストタイプのポケモンだ
確かに相性としてはあくタイプであるこちらが有利だが・・・
『準備が出来たようです、行きますよ』
俺の思考はその男の言葉によって遮られてしまった
気がつけばモンスターボールの赤い光に包まれ、回収されていた
徐々にバトルの時が迫ると、再び心臓の鼓動が大きくなっていくのが感じられる
これは緊張なのか?それとも闘争心としての高鳴りなのか・・・
俺はこう自分に何度も言い聞かせていた
(落ち着け・・・、冷静な状況判断こそバトルにおいて大切だ・・・)
『では、バトルを始めます、行け、ナイト!』
来た・・・!
俺はバトルフィールドに出され、向こうには既にゴースが控えている
『ナイト、早速あなたの力を発揮するときです“あくのはどう”!』
“あくのはどう”、それは悪意に満ちたオーラで攻撃するというもの
俺は目を閉じ、体の中にある悪意を増幅させていく
『(ゴースは敵、奴を排除する・・・!)』
俺はゴースに対する悪意を具現化させ、漆黒の弾としてゴースに放つ
そしてその攻撃はゴースを逃がすことなく命中させる
・・・が、相性がよかったとはいえ一撃で倒すまでには至らなかったようだ
すぐに体制を立て直し、こちらへの反撃を仕掛けてくる
奴が放ってきたのは“ヘドロばくだん”だった!
『(しまった・・・!奴にはどくタイプもあったんだ!)』
ヘドロばくだんを派手に浴びてしまった、体力が徐々に奪われていくのを感じる
俺はどく状態になってしまったのだ・・・
(とにかく体力が尽きる前にゴースを倒さないと・・!)
再び“あくのはどう”を放つのだが、焦って放ったせいで回避されてしまう
ゴースは既に“ヘドロばくだん”を放つ寸前だった
逃げようにも体に毒が回って、避けることができなかった・・・
俺は“ヘドロばくだん”を急所に食らい、そこで意識は途切れてしまった