ギンガ団極秘計画 第1話
【人間→ポケモン】
by 青合成獣ぁ満月様
周りを見渡せば計器の数々
そして白衣を着て“G”と書かれたバッチを身につけた研究者達がガラス越しにこちらを見ている
今俺は大きなガラスの容器の中にいる・・・
服は脱がされ、裸体をさらしている状態だ
そして隣の容器を見ると、イーブイがいる
十分に飼いならされており、今は深夜の時間帯
・・・ブラッキーに進化条件はそろっているのだ
ギンガ団極秘計画
俺の名は朔夜京平、コードネーム、ナイトと呼ばれている
ギンガ団に入ったのは数ヶ月前、普通に生活に退屈していたところ
ポスターを見つけそのまま組織の一員となった
だが下っ端の生活は楽ではなく毎日こき使われるばかりだった
『やっぱり入るんじゃなかったかな・・・』
ため息混じりに散らかっている書類の片付けをさせられている俺・・・
書類の内容は意味の分からないことでいっぱいだ
そんな中、俺は一つの書類に目をつけた
『ギンガ団極秘計画・・・?』
書類の内容などろくに目を通してなかったが
極秘という単語に思わず興味をそそられる
周りに誰もいないことを確認し、そっとその書類に目を通し始める
『ポケモンの進化するエネルギーを分析し被験体にそのエネルギーを
照射することで人間を進化させる・・・?』
要するに人間をポケモンにするということだろうか・・・?
そして続きを読もうとしたとき・・・
『その計画が気になるのかい・・・?』
急に肩を叩かれ、思わず書類を落としてしまう
白衣を着た研究者の男、いつの間に俺の後ろに・・・
『その計画ね・・・今被験体を捜しているんだけど・・・君どうだい?』
こいつ、いきなり何を言い出すんだ・・・
ポケモンになってください、と言われてはいそうですかなんて言えるわけが無い
『すみません、遠慮しておきます・・・』
『そうか・・・、場合によってはいきなり幹部クラスに任命ということもあるんだけどねぇ・・・』
『え・・・!?』
そんな異例の昇格があるのか?しかし・・・
『大丈夫だよ・・・、ちょっと付き合ってくれるだけでいいから
実験が終われば元に戻すからさ』
『はぁ・・・』
いずれにしてもこんな退屈な生活はうんざりだった
たまにはこういうのも悪くないかもしれない・・・
『わかりました、俺協力します』
『そうか、ありがとう・・・』
その時、彼はにやりと怪しい笑みを浮かべたが俺はそんなことには
全く気がついてなかった・・・
時計は深夜の12時を回った、せわしなく動き回る研究者達
そして奥には幹部と思われる女性が二人、男が一人・・・
準備がととのったらしくイーブイにふしぎなアメが投与される
“ブ、ブイ・・・っ!”
小さくイーブイが鳴くとその体が光り始めた
小さい頃から何度も見ている、これは進化の合図だ
イーブイは今ブラッキーになろうとしていたのだ
それに合わせて研究者達は装置を次々と動かしていき
電極のようなものが出てくると、イーブイの光を奪っていく・・・
思いもよらない人工的な進化キャンセルだろう、イーブイもどこか苦しそうだ
『うわっ・・・!!』
イーブイに夢中で気がつかなかった!
いつの間にか俺の頭上にも電極が現れ、照射されたのだ
その光線は俺の全身を照らし、熱くしていく
『が・・・っ・・・!!』
(全身が痛い!熱い!)
あまりの感覚に立つことができず膝をついてしまう
(あらゆるものが体中から噴き出してくる・・・!)
それは決して気のせいじゃない、腕は漆黒の毛に包まれようとしている
元々あった爪を割り、獣のような爪が突き出してきた
地面に手をつけ、激痛が形に現れた爪を立てる指も
いつしか短くなり、新たな姿へと適した形になっていく・・・
『ぐぉぁぁ!!!あ゙ぁぁっ!!!』
獣のような唸り声しかあげられない俺の変化はさらに進んでいく
地面についていた膝が急に上がったかと思うと、下半身の骨が一斉に軋みだし
4足歩行の姿へと変えていき、俺は立つことができなくなっていた
俺のことなど心配もせず研究者達はデータを採り続けている
激痛が続くあまり痛さも感じなくなってきた、
変化が終わりのほうに近づいているのだろう
すっかり漆黒の毛に包まれ、尻からは太い尻尾
体に所々ある黄色のリングの模様・・・
俺の変化ももうすぐなのだろう・・・そっと目を閉じてそれを受け入れる
耳は尖りながらも大きく、口も鼻と共に前に引っ張られてマズルに・・・
『ブラッキー・・・?』
(おわったのか・・・?)
目を開けばガラスに薄く映ったブラッキーは赤い目をしてこっちを見ている
そして・・・そのブラッキーは紛れも無く俺・・・
『ブラ・・・・・・』
何かを喋ろうにも鳴き声のようなものしか話せない・・・
俺は完全にブラッキーになったと自覚した
ギンガ団極秘計画 第1話 完
第2話へ続く